僕は高校一年生の時にクラスの友人とアコギデュオを組み、
社会人になってからも路上ライブなどをしていました。
(アコギとはアコースティックギターの略で、
ゆずやコブクロのような感じで歌っていました)
社会人になってからも続けていたのですが、
数年経った頃、プロにはまずなれないなと思い解散しました。
ギターを弾くのは苦手でしたが、歌うことは好きだったので、
解散後も休日に友人とカラオケに行ったり、
フリータイムで何時間も一人で歌ったりしていました。
そんなある日、従兄弟の結婚式に参加する機会がありました。
会場には親族や新郎新婦の友人など数十名が集まり、
みなが普段とは違う装いで独特の雰囲気に包まれていました。
結婚式は順調に進み、披露宴会場に移っていきます。
親族や友人らも食事をしながら会話に花を咲かせ、
あちらこちらで笑い声が飛び交って会場がざわついています。
それから少し時間が経った頃、会場のスタッフが各テーブルを回り始めました。
僕のいるテーブルにスタッフが来て、
「誰か歌いませんか?」と分厚い本を渡されました。
一瞬ためらいましたが、
従兄弟に僕が歌っている姿を見せたことがないのと、
祝福の意味も兼ねて、歌うことにしました。
歌うのは、Mr.childrenの「抱きしめたい」という曲です。
披露宴で歌うなんて想像していなかったので、
本をペラペラめくりながら、歌詞が合っていそうなものを選びました。
スタッフが曲の準備をしているそばから心臓がバクバクしています。
大勢の人の前で歌うなんて、何年かぶりでしたからね。
僕の番がやってきて、会場の一番前に行くと、
カラオケ用のテレビにスタンドが付いたものが設置されていて、
いよいよ本番開始です。
イントロが流れ、みなの視線が僕に集まります。
音程も外さず、そこそこ上手く歌えているなと思いながら、
徐々にサビに向かって集中していきます。
サビ前のフレーズを歌い終わり、
サビに入りました。
そして、会場のみなの心のなかに生まれる「?????」
一気に違和感に包まれる場内。
赤面していく僕。
やらかしました……
完全に音程を外してしまったのです。
サビの一部ではなく一番の歌詞のサビ全部です。
サビまで音程が合っているのに、
サビで思いっきり外すなんて誰が想像できたでしょう。
会場の中には心の中で吹き出していた人もいたはずです。
よくあれで、みなこらえられたものです。
歌う前から嫌な予感はしていたんです。
だって曲のキーが3つくらい下がっていましたからね。
でも、もうイントロも始まっちゃったし、
ここで突然キーを上げると、混乱が生まれそうだったのでやめておきました。
普段は原曲キーで歌うことに慣れているので、
キーを下げたら、まるで違う歌のように感じるのです。
一番を歌い終えた瞬間、このままじゃヤバいぞと思ったので、
二番に入る前にこっそりとキーの高さを設定し直しました。
二番に入ると音程を外すこともなく、
何とか最後まで歌うことができました。
拍手こそされましたが、
みなも妙なものを見せられたと思うことしかりでしょう。
こういう失敗をした時、どう考えるかって重要だなと思いました。
この時は、穴があれば入りたいくらい恥ずかしい思いをしましたが、
今後人前で歌いたくないとは思いません。
むしろほとんど親族しかいない場で失敗できたことはよかったです。
今回失敗した理由はよくわかっています。
・キーを下げた歌い方に慣れていなかった
・キーが下がっていると知りながら歌い始めた
で、次から失敗しないためには、
・スタッフに原曲のキーで流してくれとお願いする
・キーを下げた歌い方にも慣れておく
・イントロでキーが下がっていたら無理やりでも直す。
これらを全部対策すれば問題はないですが、
キーを下げた歌い方というのは気持ちよくないので、
スタッフにお願いするのが一番だと思いました。
もし手違いでキーが下がっていたら原曲通りに直せばいいということです。
もちろん会場によっては、歌だけ流れてマイクを渡されるということもあるので、
スタッフに念を押して設定してもらうのがいいかもしれませんね。
これで数百人が集まるような披露宴で歌ったとしても、
音程を外さずに最後まで歌えるようになるでしょう。
失敗した時は、恥ずかしい思いや嫌な思いをしますが、
原因を探ることも非常に大切なことだということがわかりました。
失敗したまま放っておけば、また同じ失敗を繰り返すハメになりますし。
失敗はいずれ笑い話にでもできるし、
次に成功するための足掛かりにもなるから、
失敗して損だけが残るわけではないです。
むしろ人より多くの失敗をすれば、
その都度いろいろな事を感じるので、
少しずつ人間的な深みも出てくるのではないかと思います。
そしてその失敗談は、同じ失敗をした人と共有できるし、
誰かの失敗を未然に防ぐこともできます。
そう考えると案外悪いものでもないと思いませんか?
それに、何をやっても上手くいく人の話なんか、
聞いてても面白くもなんともないですからね。